病院指標の公表

DPC

2016年度に退院された患者さんの集計結果をお知らせします。

【用語解説】

・DPC(Diagnosis Procedure Combination)【診断群分類】とは:
入院医療における診断群分類に基づいて評価される入院1日当たりの定額支払い制度で使用される分類で、その入院期間のうち最も医療資源を投入した傷病名を基準に、手術を行ったかどうか、定義された処置・検査等を行ったかどうかで、1日当たりの入院費が決定されます。その際14桁のコードがつきます。
例えば、050070xx9700xxは、頻脈性不整脈、手術あり、手術・処置等1なし、手術・処置等2なしとなります
・最も医療資源を投入した傷病名とは:
当該入院期間に、医療従事者の関与・材料・薬剤・医療費・時間を最も使用し、総合的に判断した傷病名です。
年齢階級別退院患者数
年齢区分 0〜 10〜 20〜 30〜 40〜 50〜 60〜 70〜 80〜 90〜
患者数 302 117 63 89 126 259 724 1079 1461 538

2016年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)に退院された患者さんを年齢別に集計しています。この年齢は、入院時の年齢を採用しています。 年齢構成ですが、地域の高齢化に伴い、70歳以上の退院患者が64.7%と約2/3を占める結果となっています。 その中で、地域の小児医療も担っており、9歳以下は6.35%でした。また、全体の平均は69.12歳となっています。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

2016年度に退院された、DPC対象の患者さんのDPCコード14桁別に集計し、各診療科別の上位5位までを表示しています。
例えば前立腺生検や鼠径ヘルニア手術をされた方、労災または自費による入院等、包括対象外の患者さんは集計の対象外となり、反映されていません。
※「-」は、症例数が10件未満のため非表示となっています。

1.用語解説

・最も医療資源を投入した傷病名とは:
当該入院期間に、医療従事者の関与・材料・薬剤・医療費・時間などから総合的に判断した傷病名です。
・A-DROPスコアとは:
市中肺炎ガイドラインによる重症度分類で、指標は5項目の頭文字をとったものです。
1)Age(年齢):男性70歳以上、女性75歳以上
2)Dehydration(脱水):BUN_21mg/ml以上、または脱水あり
3)Respiration(呼吸状態):SpO2_90%以下
4)Orientation(意識障害):意識障害あり
5)Pressure(血圧):血圧(収縮期)90mmHg以下
※5点満点で、1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点…となります。
ショックがあれば1項目のみでも超重症となります。

2.計算式

・平均在院日数=
分子:該当するDPCコード別の総在院日数
分母:該当するDPCコード別の患者数
・転院率=
分子:DPC調査結果における、退院先(他の病院・診療所への転院)となった件数
分母:該当するDPCコード別の患者数
DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎の診断・治療 92 26.40 21.25 32.60% 84.88
0400801499×002 肺炎の診断・治療(75歳以上の重症度分類A-DROPスコアが2の場合) 25 25.56 15.29 12.00% 83.60
0400801499×001 肺炎の診断・治療(75歳以上の重症度分類A-DROPスコアが1の場合) 25 18.72 13.60 20.00% 81.80
040120xx99000x 慢性閉塞性肺疾患の診断・治療 23 23.83 13.85 17.39% 78.61
040110xxxxx0xx 間質性肺炎の診断・治療 22 34.64 19.92 13.60% 77.59

内科では、肺炎や慢性閉塞性肺疾患の疾患が多く、平均年齢も70代後半〜80代と高齢者に多く発症しています。 特に誤嚥性肺炎は嚥下機能(食べ物等を飲み込む力)の低下により発生するため高齢者によく起こります。改善が悪く何度も繰り返すのが特徴です。そのため当院では肺炎の治療にかなりの力を注いでいます。
間質性肺炎は免疫機序の異常で起こる肺炎で、その原因は、不明なもの、膠原病に伴うもの、薬剤などによるものなど多岐にわたります。また類似の所見を呈する感染症もあります。このため原因をきちんと調べ、適正な治療を行う必要があります。採血検査やCT検査、気管支内視鏡検査などの結果を総合して判断する必要があり、かなりの知識と経験が必要です。当院には呼吸器内科専門医が複数在籍しており、また呼吸器学会認定施設となっています。

※内科では総合すると細菌性肺炎の患者さんを最も多く治療しています。この指標に挙がってきていないのは、2016年度に実施された診療報酬改定で診断群分類(DPC)の市中肺炎の重症度分類であるA-DROPスコアが導入され、入院時の患者さんの状態で分岐されるためです。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管結石・胆管炎・閉塞性黄疸などで内視鏡治療を行う場合 46 10.65 11.06 8.70% 75.91
060130xx99000x 食道、胃、十二指腸などの良性疾患の診断・治療 25 6.24 7.44 4.00% 73.88
060102xx99xxxx 穿孔・膿瘍を伴わない腸憩室疾患の診断・治療 22 9.36 7.89 0.00% 68.41
060210xx99000x 腸閉塞の診断・治療 22 15.00 9.08 4.54% 76.05
060140xx97x00x 穿孔のない胃・十二指腸潰瘍などで内視鏡止血術などを施行する場合 21 12.52 10.93 4.76% 76.52

消化器内科のDPC対象診療患者内訳としては、27年度とほぼ変化なく、胆管結石・胆管炎・閉塞性黄疸などで内視鏡治療を行った方がもっとも多くなっています。平均在院日数も、全国平均より短縮しています。胆管炎は、胆管(胆汁の流れる通り道)の閉塞機転によって発症し、原因として一番多いのは胆管結石です。症状としては発熱・腹痛・黄疸が出現し、重症となるとさらにショック症状(血圧低下)、意識障害も出現し、生命にかかわることもあります。当院では受診された場合、早急に腹部エコー検査、CT、MRI検査、血液検査などを実施し、診断します。また、並行してガイドラインに基づいた重症度判定を行い、中等症以上の胆管炎と診断した場合には夜間や休日でも早急に内視鏡的胆管ドレナージを行います。

大腸憩室症は、腸管壁が腸管外側に嚢状に突出した状態を指します。大腸憩室炎と大腸憩室出血が2大合併症です。診断群対象診療患者でも3番目に多い疾患となっています。憩室炎は腹痛や発熱で発症し、炎症を起こした憩室の部位に圧痛や筋性防御がみられます。膿瘍、穿孔などを合併した憩室炎の場合には外科医に早急に連絡し手術治療を行います。憩室出血は下部消化管出血の中で最も頻度の高い疾患です。腹痛を伴わない血便で発症することが多く、最近では高齢化に伴い抗凝固剤を投与されている方が多いため、憩室出血も以前に比較して多い印象を受けます。出血部位が特定できれば内視鏡的に止血を行います。しかしながら自然止血することも多いため、外科的治療にまで至る症例はほとんどありません。平均年齢は27年度と比較し、68.41歳で8.16歳高くなっています。

診断群対象診療患者で4番目に多い、機械的イレウス(腸閉塞)は、大きく単純性イレウスと複雑性(絞扼性)イレウスに大別されます。イレウスの症状として腹痛、腹部膨満、悪心、嘔吐、排便排ガスの停止などが出現します。イレウスが疑われた場合には、腹部単純X線、腹部エコー検査、腹部CTを行い、診断とともにイレウスの原因を調べます。イレウスの原因としては過去の手術による腸管癒着が最も多く、血流障害のない単純性イレウスの場合には胃管挿入やイレウス管による腸管減圧を行います。腸管血流障害を伴う複雑性イレウスの場合には緊急性を要しますので外科医と早急に連絡を取り、手術治療を行います。また、最近大腸癌による大腸イレウスが増加傾向にあり、内視鏡を用いて経肛門的イレウス管を挿入したり、金属ステントを留置して緊急手術を回避することもできます。

※当科で最も多い疾患は大腸ポリープの切除を施行した患者さんですが、この集計では、DPC包括対象外であるため、含まれていません。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症・慢性虚血性心疾患の心臓カテーテル検査 82 3.06 3.06 13.41% 71.29
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患で心臓カテーテル治療(PCIなど)を行う場合 50 5.50 4.71 0.00% 74.26
050130xx99000x 心不全の診断・治療 30 25.10 17.95 23.33% 85.80
050210xx97000x 徐脈性不整脈でペースメーカー移植術などを行う場合 17 14.06 11.38 0.00% 81.41
050050xx99200x 狭心症・慢性虚血性心疾患の心臓カテーテル検査と冠血流予備量比 (FFR)測定を併せて行う場合 13 4.38 3.22 0.00% 74.54

循環器内科は、心臓血管病の診断、治療を中心に診療しており、主として虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心筋症、心臓弁膜症、不整脈、大血管疾患を診療しています。
最も多い疾患は総合すると狭心症、虚血性心疾患です。運動負荷心電図、心筋シンチ、冠動脈CTなどで評価し、必要があれば心臓カテーテル検査、血行再建術(経皮的冠動脈インターベンション)を施行しています。心臓カテーテル検査は1泊2日~2泊3日、待機的経皮的冠動脈インターベンションは3泊4日の入院で行っています。また、総合して4番目に多い徐脈性不整脈の診断では24時間心電図、電気生理学的検査が施行可能で、適応があればペースメーカー植込み術を施行しています。また、早期の社会復帰を目指し、心臓リハビリテーションにも力を入れています。
当院には、心臓血管外科がありませんので、冠動脈バイパス術や弁置換術、大動脈疾患の手術が必要な場合には熊本市内の心臓血管外科併設施設へ紹介しています。また、不整脈疾患でカテーテル治療や植込み型除細動器等のデバイス適応がある方も熊本市内の認定施設へ紹介しています。
当科で急性期の治療を行い、その後病状が安定していれば、地域の医療機関に継続的なフォローアップを依頼しています。日常診療ではエビデンス、ガイドラインをふまえたスタンダードで適切な医療を提供できるように心がけています。

当院には心臓血管外科がありませんので冠動脈バイパス術や弁置換術、大動脈疾患の手術が必要な場合には熊本市内の心臓血管外科併設施設へ紹介しています。また、不整脈疾患でカテーテル治療や植込み型除細動器等のデバイス適応がある方も熊本市内の認定施設へ紹介しています。
当科で急性期の治療を行い、その後病状が安定していれば、地域の医療機関に継続的なフォローアップを依頼しています。日常診療ではエビデンス、ガイドラインをふまえたスタンダードで適切な医療を提供できるように心がけています。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
0400801199x00x 小児の肺炎の治療 61 4.85 5.79 0.00% 5.11
040100xxxxx00x 喘息の診断・治療 50 5.76 6.42 2.00% 3.66
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎の診断・治療 41 4.78 6.02 0.00% 1.66
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎の診断・治療 26 4.42 6.09 3.80% 2.96
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎の診断・治療 26 3.81 5.50 0.00% 4.04

地域中核病院における小児科において最も入院診療の対象となる疾患のメインは感染症です。

その中の多くは肺炎・気管支炎・細気管支炎の呼吸器疾患です。いわゆる風邪に罹患しやすい小児においては、上気道炎で止まる大人と違い、その解剖および生理・免疫学的特徴から安易に気管支肺へと進展します。そしてRSウイルスを代表とするウイルス性もあれば、二次感染を併発するなどして急速に呼吸困難に陥ります。しかるべきときに適切な対応がされないと命にもかかわる疾患です。

次に喘息発作です。これは厳密には感染症とは異なりますが、増悪因子としての感染症はやはり重要です。気管支喘息治療・管理ガイドラインの浸透によってコントロールが改善したとはいえ、現在でも感染による増悪、あるいは重積発作がみられ、酸素投与、全身性ステロイド投与を必要とする症例は多いです。

最後にウイルス性腸炎です。多くはウイルス性で対症療法になりますが、小児は細胞内水分量が多い、不感蒸泄(呼気や皮膚・粘膜から蒸発する水分のこと)が多い等の理由から発熱・嘔吐・下痢により容易に脱水を起こします。その代表であるロタウイルスは発展途上国を中心に年間数十万人が死亡していると推定されています。適切な輸液療法を施行することが重要です。

※28年度改定にて診断群分類が変更されたことにより肺炎と気管支炎・細気管支炎が分離されています。したがって前年度に比べ肺炎等の数値は低下しています。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx02000x 胆石性胆のう炎などで腹腔鏡下胆のう摘出術を行う場合 22 10.64 7.61 0.00% 63.68
060210xx99000x 腸閉塞の診断・治療 13 9.15 9.08 7.70% 70.08
060060xx99x3xx 胆管癌の抗がん剤治療 13 3.46 8.03 0.00% 69.31
060150xx02xxxx 虫垂周囲膿瘍を伴う虫垂炎で虫垂切除などの手術を行う場合 11 7.64 9.91 0.00% 30.27
060330xx02xxxx 胆のう結石などで腹腔鏡下胆のう摘出術などを行う場合 10 8.80 5.50 0.00% 69.30

消化器外科症例としては、DPC対象診療患者内訳を27年度症例と比較したところ、最も多い疾患は胆石性胆のう炎で、腹腔鏡下胆のう摘出術を実施した方となっています。平均在院日数、患者数等もほぼ変化はありません。
2番目に多い疾患は、腸閉塞を起こし治療を行った方です。過去の手術で引き起こされる腸管の癒着が最も多い原因の一つです。そのため、平均年齢が高く、他院へ転院される患者さんも当科他疾患より多くなっています。
同件数で2番目に多い疾患は、胆管癌で化学療法を実施した方が昨年は10件未満でしたが今回は13件に増加しています。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 外傷性股関節近位骨折で人工骨頭挿入手術などを行う場合 191 46.82 27.63 47.64% 84.51
160690xx99xx0x 外傷性胸椎・腰椎骨折の治療 104 48.50 20.57 22.12% 81.13
070230xx01xxxx 変形性膝関節症で人工膝関節手術を行う場合 41 50.95 26.26 0.00% 76.73
160760xx97xx0x 外傷性前腕骨折で骨折手術を行う場合 41 11.56 5.49 2.43% 58.22
070370xx99xxxx 脊椎骨粗しょう症の診断・治療 38 46.00 23.61 31.58% 82.92

整形外科では、患者さんの意向により一般病棟に入院後、継続的なリハビリテーションを実施するため、当院の回復期リハビリテーション病棟へ転棟させたのち、退院となる患者さんもいます。そのため平均在院日数が、全国平均よりも長くなっています。

最も多い疾患は高齢者の大腿近位骨折であり、高齢化社会を背景に全国的に増加傾向にあります。多くは転倒にて発症し、大腿骨転子部骨折、大腿骨頚部骨折、大腿頚基部骨折の3種類に分類されています。手術的治療が基本であり、その後のリハビリが今後の見通しに大変重要です。
2番目に多い疾患は高齢者の脊椎椎体骨折で、骨粗しょう症のある患者さんに発症しやすいものです。転倒以外にも重い荷物を抱えたり、はっきり原因がなく発症することがあります。治療の基本は適度の安静とリハビリであり、治療用に長いコルセット着用を指導しています。
3番目に多い疾患は膝関節症であり、特に誘因なく加齢により軟骨や半月板に不具合が起きることが主な原因です。加齢の他に関節リウマチや膝のケガなどの他の原因によって引き起こされることもある疾患です。基本は適度な運動や減量などの保存療法になりますが、重度の場合は膝関節置換術などの手術療法となることもあります。
4番目に多い疾患は前腕の骨折であり、この疾患も多くは転倒にて発症し、高齢者に多いですが若年者にも頻発します。主に橈骨、尺骨骨折が多くを占め、手術を必要とすることが多い疾患となります。また、膝関節症と同様に比較的ADLレベルが保たれるため転院率は低くなっています。
5番目に多い疾患は脊椎骨粗しょう症であり、この疾患は加齢、薬物などにより発症し、多くは高齢者に発生する疾患です。当院では特に誘因のない脊椎圧迫骨折は骨粗しょう症の診断群で判断します。よって、治療内容としては脊椎椎体骨折と変わりありません。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx めまい症などの診断・治療 16 6.56 5.24 0.00% 65.38
010060×2990401 脳梗塞(発症前症候が比較的軽度)の診断・エダラボン治療を行う場合 11 30.09 16.54 27.27% 78.91
010060×2990201 脳梗塞(発症前症候が比較的軽度)の診断・リハビリテーションを行う場合 11 23.36 16.73 0.00% 65.82
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作の診断・治療 6.38
010060×2990400 脳梗塞(発症前症候が中等度以上)の診断・エダラボン治療を行う場合 20.18

神経内科では、脳、脊髄、筋肉、末梢神経の疾患に幅広く、対応していますが、とりわけ、虚血性脳血管障害(脳梗塞)は多く、年間入院患者の約半数を占めています。
診断群分類上、2番目、3番目に位置している脳梗塞ですが、総合すると最も多い疾患です。脳梗塞は脳に酸素や栄養を運ぶ血管が詰まり脳への血液供給が途絶えることにより、麻痺、言語障害、意識障害がおこる病気です。当院では意識障害がないか比較的軽度(JCS:10未満)の患者さんが最も多くなっていますが、重症の方もいます。この病気に対し、内科的治療やリハビリテーションを積極的に行っています。
他にもパーキンソン病やてんかん、めまい、頭痛、認知症等にも積極的に治療を行っています。

※28年度に実施された診療報酬改定によって、脳梗塞の分類に以前には入っていなかった重症度分類発症前Rankin Scaleが導入されました。これは、脳梗塞発症前の概ね7日間の日常生活が障害なく過ごせていたか、分類するものです。当院では、発症前の状態が兆候がない~軽度の比較的軽度の方が多く入院されています。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱癌で経尿道的な膀胱腫瘍摘出術を行う場合 50 11.24 7.44 2.00% 75.96
11012xxx020x0x 腎・尿管結石で経尿道的な尿路結石除去術を行う場合 36 8.53 5.83 0.00% 71.50
110080xx01x0xx 前立腺癌で前立腺全摘手術を行う場合 33 13.64 11.72 3.03% 69.70
110070xx99x20x 膀胱癌で抗がん剤治療を実施した場合 21 5.57 11.72 0.00% 71.43
110310xx99xx0x 腎臓・尿路感染症の診断・治療 17 13.65 12.43 29.41% 77.18

泌尿器科では主に尿路の感染、結石、悪性腫瘍など幅広い疾患を取り扱っています。
今回多くを占めた疾患は膀胱癌で、膀胱内に発生する悪性腫瘍です。治療は化学療法や内視鏡的な摘出術などがあり、表在性の癌であれば摘出により治療が完了します。 また、新任医師の赴任により、以前では少なかった前立腺の症例が増え、膀胱癌に対する治療の件数も増加しており、さらに充実した治療が可能となっています。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx99010x 末期腎不全で維持透析を行う場合 14 11.71 14.77 0.00% 78.00
110280xx02x00x 慢性腎不全でシャント術を行う場合 10 5.00 8.87 0.00% 71.00
110290xx99x00x 急性腎不全の診断・治療 14.60
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群の診断・治療 22.67
110280xx02x1xx 慢性腎不全でシャント術と維持透析導入を行う場合 37.06

糖尿病有病率の上昇により、糖尿病による血管合併症としての腎障害は年々増加しています。また高齢化により、高血圧・腎硬化性疾患の最終像としての腎不全も年々増加しています。DPC病名として最も多いのが腎不全及び透析関連であることもそれを示唆するものです。当科では、腎不全の進行を抑制することを目的として、外来での栄養・薬剤指導を行っており、入院治療を要するような症状への悪化を防いでいます。また、入院になったとしてもスピーディーな退院を促進しており、入院日数は全国平均に比べ短めとなっています。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎の診断・治療 26 26.88 21.25 38.46% 84.65
080020xxxxxxxx 帯状疱疹の診断・治療 18 15.28 8.96 0.00% 72.72
100071xx99x110 2型糖尿病(多数の合併症を伴う)のインスリン治療 12 24.25 16.40 8.33% 70.25
050130xx99000x 心不全の診断・治療 11 24.91 17.95 9.10% 76.36
100070xx99x000 2型糖尿病の教育入院 10 15.80 12.20 0.00% 49.80

糖尿病・内分泌科では、糖尿病については地域の各医療機関との連携も強固であり、必要に応じた入院治療さらには糖尿病教育目的の入院を行っています。同時に他の診療科にそれぞれの専門疾患の治療目的で入院された患者さんの中にも、併存疾患として糖尿病を有している対象が数多くおられ、並行した高度な糖尿病診療が必要とされるケースが数多く存在します。当科入院中の患者さん以外でもこのように数多くの入院患者さんの治療を補助しています。

内分泌疾患については、数は多くありませんが、疾患の種類が多岐にわたり、それぞれの高度な知識が必要とされます。表面には現れにくいのですが、代表的な甲状腺疾患以外にも脳下垂体、副腎、副甲状腺、骨代謝疾患などの診断、治療が活発に実施されています。 また、日本糖尿病学会認定研修・教育施設、日本内分泌学会認定教育施設の指定を受けており、現在のところ熊本県下で両者の認定を受けている施設は2か所のみとなっています。

※当科では総合すると2型糖尿病の患者さんの教育入院を最も多く実施しています。27年度と比較しまして数が減少しているように見えるのは、28年度に実施された診療報酬改定で診断群分類(DPC)が入院中にインスリンを投与したか、85歳以上かで分岐され、より実際の治療に即した診断群となったためです。今回の集計で、最も多かったのは多発合併症を伴う2型糖尿病の患者さんで、インスリン投与を実施し、認知症または下肢動脈硬化症等があり、85歳未満の方となっています。

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数
(自院)
平均在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎の診断・治療 39 24.92 21.25 25.64% 84.92
050130xx99000x 心不全の診断・治療 30 18.23 17.95 10.00% 87.83
180010x0xxx0xx 敗血症の診断・治療 24 23.21 19.24 20.83% 82.75
110310xx99xx0x 腎臓・尿路感染症の診断・治療 23 19.65 12.43 8.70% 79.83
070560xx99x0xx 膠原病の診断・治療 14 27.86 17.77 28.57% 69.00

総合診療科では複数の病気をお持ちの方や原因のわからない症状があり、どの診療科にかかったら良いかわからない方を担当しています。そのため、当科にはご高齢で複数の持病を持ち、持病を悪化させたり、新たな病気を発症し入院される方の比率が多いです。

入院での治療の対象となった疾患を見てみますと、誤嚥性肺炎・心不全等、高齢になり、病気の発症や悪化には年齢や生活環境が大きく関わっている疾患が多くなっています。誤嚥性肺炎は、高齢になり誤嚥(飲み込む力が低下し、食べ物等が誤って気管に入ってしまうこと)が原因で、起こる肺炎です。平均年齢、84.92歳と高齢で約4分の1が他院へ転院となります。また、心不全は高齢になり様々な要因で心機能が低下した疾患です。こちらも平均年齢が87.83歳と超高齢となっています。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 再発 病期分類基準(※) 版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 20 1 7
大腸癌 13 12 42 1 7
乳癌 1 7
肺癌 34 21 1 7
肝癌 1 7

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

・2016年度に最も医療資源を投入した傷病名が5大癌の患者さんについて、初発患者はTNM分類による分類を、再発患者は期間内の件数を示しています。
※「-」は、症例数が10件未満のため非表示となっています。

1.用語解説

・5大癌とは:
胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌を5つの主要癌と定義しています。
・UICCとは:
International Union Against Cancer【国際対がん連合】という組織のことです。
・病期分類はどのように行うか:
UICCではTNM分類法に基づき各部位の癌に対し病期分類を行っています。
・TNMとは:
T-原発腫瘍の進展範囲
N-所属リンパ節転移の有無と進展範囲
M-遠隔転移(例:肺癌が脳に転移した)の有無
を判断基準として、病期を分類していきます。Stage0−StageⅣの分類があり、TNMの基準は癌の部位によって異なります。
・初発とは:
当院(自施設)において、当該腫瘍に診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合を指します。
・再発とは:
当院(自施設)・他院(他施設)を問わず初回治療が完了した後、自施設にて患者を診療した場合や、治療寛解後に局所に再度発生または新たな遠隔転移をきたした場合を指します。
・最も医療資源を投入した傷病名とは:
当該入院期間に、医療従事者の関与・材料・薬剤・医療費・時間を最も使用し、総合的に判断した傷病名です。

2.診療科コメント

【胃癌・大腸癌・肝癌】
胃癌についてはStageⅠが多くなっています。これは当院が健診センターを併設しており、早期癌で見つかる方が多いと考えられますし、外来に定期通院されている方でも年に1回の内視鏡検査を勧めていることが考えられます。早期胃癌全てが胃カメラで切除できる訳ではありませんが、患者さんとよく話し合った上で、絶対的適応のある症例だけでなく、以前は外科手術を必要とされていた相対的適応(2cmを超える高分化型腺癌や2cm未満の未分化癌など)の症例に関しても積極的に内視鏡治療を行っています。
肝癌については、残念ながらStageⅣの進行した状態で来院される方が多くなっています。そのようなかなり進行した状態で来院されても、治療は決してあきらめず、肝予備能を見ながらソラフェニブ内服治療を行ったり、症状緩和治療を行っています。
大腸癌については、StageIVが多くなっています。これは大腸癌による血便、腹部膨満感、疼痛が起こるようになってから受診される方が多いのだと推測されます。外科医と相談しながら原則的に手術治療を勧めています。手術ができないような全身状態が不良な方でも、癌による狭窄症状に対して金属ステントを留置して症状緩和に努めています。
【肺癌】
肺癌は外来通院で診断ならびに遠隔転移の検査・評価を行い、臨床病期Ⅰ・Ⅱ期は主として外科的手術となるため、呼吸器内科に入院となることは原則ありません。手術は熊本大学付属病院呼吸器外科の応援を得て当院外科で受けることができます。また場合によっては熊本市内の基幹病院に紹介することもできます。臨床病期Ⅲ・Ⅳ期は主として放射線治療、化学療法の適応となりますので主に当院入院で治療を行います。がんセンター勤務の経験のある医師や多くの治療を行ってきた医師がカンファレンスを行い、抗癌剤、分子標的治療薬など患者さんに適した治療を行います。また、最近はがん免疫治療については、日常生活・QOLをできる限り保ちながら外来で治療を受けていただけるようにしています。放射線治療につきましては、当院にその施設はございませんが、荒尾市民病院放射線治療科と連携を結んでいますので安心して受けていただくことができます。
【緩和ケア的視点】
がんを持たれている方は、がんそのものの症状に加え、治療の副作用、精神的な負担、仕事や家庭などの環境変化にも悩まされます。総合診療科ではがんの種類や病期にかかわらず、治療や生活の質が維持できるように、他の診療科のサポート、終末期の管理も対応しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 平均 在院日数 平均年齢
軽症 39 13.67 48.44
中等症 152 19.60 82.24
重症 25 25.12 84.88
超重症
不明

・2016年度に最も医療資源を投入した傷病名が肺炎で退院した患者さんのDPCのA-DROPスコアから、算出しました。
※「-」は、症例数が10件未満のため非表示となっています。

1.用語解説

・A-DROPスコアとは:
市中肺炎ガイドラインによる重症度分類で、指標は5項目の頭文字をとったものです。
1)Age(年齢):男性70歳以上、女性75歳以上
2)Dehydration(脱水):BUN_21mg/ml以上、または脱水あり
3)Respiration(呼吸状態):SpO2_90%以下
4)Orientation(意識障害):意識障害あり
5)Pressure(血圧):血圧(収縮期)90mmHg以下
※5点満点で、1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点…となります。
ショックがあれば1項目のみでも超重症となります。
・市中肺炎とは:
社会生活を送っている中で発症した肺炎のことです。医療機関に入院して48時間以後に発症した院内肺炎と区別されます。
・DPC(Diagnosis Procedure Combination)【診断群分類】とは:
入院医療における診断群分類に基づいて評価される入院1日当たりの定額支払制度で使用される分類で、その入院期間のうち最も医療資源を投入した傷病名を基準に、手術を行ったかどうか、定義された処置・検査等を行ったかどうかで、1日当たりの入院費が決定されます。
・最も医療資源を投入した傷病名とは:
当該入院期間に、医療従事者・材料・薬剤・医療費・時間を最も使用し、総合的に判断した傷病名です。

2.計算式

・平均在院日数=
分子:A-DROP重症度別の総在院日数
分母:A-DROP重症度別の患者数

3.診療科コメント

最近は肺炎に罹患された患者さんが早期に受診していただけるようになりましたので、比較的軽症のうちに入院・治療が開始されてその治療成績もかなり良好となっています。しかし中には重症(4、5度)で人工呼吸管理ならびに全身管理を必要とする場合もあります。当院はICU(集中治療室)を有し、人工呼吸器につきましても非侵襲的な(気管チューブを挿入しないでマスク換気を行う)ものや高機能なものなど多数常備しています。

脳梗塞のICD10別患者数等
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 14 10.57 83.36 7.14%
その他
I63$ 脳梗塞 3日以内 68 34.91 76.72 32.35%
その他
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他

・2016年度に最も医療資源を投入した傷病名が脳梗塞によって退院した患者さんを集計しています。
※「-」は、症例数が10件未満のため非表示となっています。

1.用語解説

・ICD(International Classification of Diseases)【国際疾病分類】とは:
死因や疾病の国際的な統計基準として世界保健機関(WHO)によって作成されている分類であり、日本においては第10版2003年度版が採用されています。

ICD-10脳梗塞分類

・G450-G459:
一過性脳虚血発作および関連症候群
・I630-I639:
脳梗塞
・I650-I659:
脳実質外動脈の閉塞および狭窄、脳梗塞に至らなかったもの

当院では上記3分類に該当する患者さんが入院されました。

・最も医療資源を投入した傷病名とは:
当該入院期間に、医療従事者の関与・材料・薬剤・医療費・時間を最も使用し、総合的に判断した傷病名です。

2.計算式

・平均在院日数=
分子:国際疾病分類の脳梗塞の総在院日数
分母:国際疾病分類の脳梗塞の患者数
・転院率=
分子:DPC調査結果における、退院先(他の病院・診療所への転院)となった件数
分母:国際疾病分類の脳梗塞の患者数

3.診療科コメント

当院は、回復期リハビリテーション病棟を設置しており、脳梗塞で入院された患者さんの意向により、急性期治療→慢性期・回復期リハビリテーションの実施→リハビリテーション後の在宅復帰までを継続して行うシームレスケアを基本方針とした、トータルサポートを実践しています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

・2016年度に退院された、DPC対象の患者さんの主たる手術別の件数を集計し、診療科別の上位5位までを表示しています。
・輸血(K920$)は対象外です。
※「-」は、症例数が10件未満のため非表示となっています。

1.用語解説

・Kコードとは:
診療報酬医科点数表に定められた手術に付与されたコードです。
・DPC(Diagnosis Procedure Combination)【診断群分類】とは:
入院医療における診断群分類に基づいて評価される入院1日当たりの定額支払い制度で使用される分類で、その入院期間のうち最も医療資源を投入した傷病名を基準に、手術を行ったかどうか、定義された処置・検査等を行ったかどうかで、1日当たりの入院費が決定されます。
・最も医療資源を投入した傷病名とは:
当該入院期間に、医療従事者の関与・材料・薬剤・医療費・時間を最も使用し、総合的に判断した傷病名です。

・術前平均日数は、各術式の入院日から術日までの日数を平均したものです。(術日は除きます)

・術後平均日数は、各術式の術日から退院日までの日数を平均したものです。(術日は除きます)

2.計算式

・術前平均日数=
分子:診療報酬医科点数表手術コード(Kコード)別の入院日〜術日までの総入院日数
分母:診療報酬医科点数表手術コード(Kコード)別の症例数
・平均在院日数=
分子:診療報酬医科点数表手術コード(Kコード)別の術日〜退院日までの総入院日数
分母:診療報酬医科点数表手術コード(Kコード)別の症例数
Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆のう摘出術 35 1.17 7.97 0.00% 66.00
K7161 小腸切除術(悪性腫瘍手術以外の切除術) 12 1.92 25.42 16.67% 77.58
K664 胃瘻造設術 11 1.27 5.91 90.91% 78.27
K718-22 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) 11 0.27 6.36 0.00% 30.27
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術

当科で最も多い手術は、胆のう結石、胆のう炎に対して実施する腹腔鏡下胆のう摘出術です。患者さんの負担の少ない腹腔鏡で手術を行うため、手術の傷も小さく、早期の退院を目指します。
2番目に多い、小腸切除術(悪性腫瘍手術以外の切除術)は、腸閉塞などで腸管が穿孔し(腸に穴が開いた状態)、腹膜炎を起こした重症症例に対して行う手術です。CT検査等で穿孔が判明した段階で、緊急手術を施行します。重症であるため、入院も長くなっています。
3番目に多い、胃瘻造設術は、脳血管障害や食道に障害があり、口からの栄養補給ができない患者さんに対して、栄養や薬剤投与を行う目的で手術を実施します。胃瘻造設術を実施する患者さんは寝たきりの状態の方が多く、転院率が90%を超えています。

※当科で最も多い手術は鼠径ヘルニア根治術を施行した患者さんですが、この集計では、DPC包括対象外であるため、含まれていません。

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 60 3.12 5.12 0.00% 72.90
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 11 5.09 17.36 36.36% 81.55
K597-2 ペースメーカー交換術
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞)
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症)

循環器内科で最も多い手術は経皮的冠動脈ステント留置術です。狭心症や、心筋梗塞と診断された患者さんに施行します。重症度によって待機的~緊急的に行う場合があり、それによって在院日数も変化します。
ペースメーカーは高度房室ブロックや洞不全症候群などの不整脈に対して行います。当院で行う患者さんの平均年齢が81.55歳と高齢であり、在院日数が長くなっています。当科で急性期の治療を行い、その後病状が安定していれば、地域の医療機関に継続的なフォローアップを依頼しています。日常診療ではエビデンス、ガイドラインを踏まえたスタンダードで適切な医療を提供できるように心がけています。

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 69 2.52 13.67 15.94% 79.51
K654 内視鏡的消化管止血術 28 0.39 14.14 17.86% 76.14
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 24 4.33 9.79 8.33% 78.08
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 15 1.73 11.27 6.67% 77.53
K533-2 内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術 11 1.00 12.00 9.10% 64.64

最も多い手術は内視鏡的胆道ステント留置術です。胆管炎や閉塞性黄疸に対して行っています。診断がつき次第可及的速やかに施行しており、平均年齢が75歳を超えていますが、2週間以内での退院を可能にしています。
内視鏡的止血術は吐下血などの消化管出血が疑われた場合には原則24時間以内に内視鏡検査を行っています。高齢者や合併症のある方が多い割には、多くの患者さんで2週間以内の退院が可能となっています。
次に多い手術は内視鏡的乳頭切開術です。胆道の結石を除去したり悪性腫瘍で狭くなった胆道を広げるために行います。ステント留置を同時に行う場合は、内視鏡的胆道ステント留置術に件数が計上されます。

※当科で最も多い手術は大腸ポリープの切除術を施行した患者さんですが、この集計では、DPC包括対象外であるため、含まれていません。内視鏡的ポリープ・粘膜切除術については高齢者や合併症がある方は2泊3日の短期間で入院治療を行っています。

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント留置術 17 8.71 10.76 5.82% 67.65
K6072 血管結紮術

当科は慢性腎不全の患者さんで、透析を必要とする方のかかりつけ医としての役割を果たすため、透析アクセス関連手術(内シャント留置術)を最も多く行っています。
なお、K6072 血管結紮術に関しては、同様に透析の患者さんでシャント血管に不具合がある場合などに施行しています。

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 152 4.12 40.37 44.74% 84.64
K0811 人工骨頭挿入術(股) 54 5.63 45.63 53.70% 84.33
K0821 人工関節置換術(膝) 43 2.12 49.21 0.00% 77.09
K0461 骨折観血的手術(上腕) 34 3.53 24.88 14.71% 67.24
K0462 骨折観血的手術(前腕) 34 1.38 16.94 8.82% 66.32

大腿骨の中でも大腿骨近位骨折に対する手術件数が最も多く。大腿骨転子部骨折に対して骨接合術、大腿骨頸部骨折に対して骨接合術と人工骨頭置換術を行っています。多くは高齢者が対象となるため、全身状態の精査と受傷日より早期での手術に努めています。
その他に上腕、前腕部の骨折も多く、高齢者から若年者まで幅広く入院されています。内容としては主に上腕骨の骨折、橈骨尺骨関連の骨折で、観血的な接合術を主に行っています。
また、近年の高齢化に伴い、変形性膝関節症や関節リウマチによる膝関節置換術も増加しています。合併症予防、術後の除痛、関節可動域訓練・歩行訓練を積極的に行い、早期の社会復帰を目指して治療を行っています。

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K8036 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 58 1.81 6.26 0.00% 74.50
K843 前立腺悪性腫瘍手術 34 1.74 10.91 5.88% 69.97
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 31 1.26 6.03 0.00% 72.87
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 28 1.07 10.39 21.43% 76.71
K797 膀胱内凝血除去術 22 1.77 16.23 13.64% 84.14

当科では膀胱癌、前立腺癌などの悪性腫瘍の手術件数が約半数を占めています。高齢化社会を迎える我が国同様、当院においても、高齢者疾患の代表である前立腺癌などの悪性腫瘍は増加しています。経尿道的内視鏡手術は侵襲も軽度であり、開腹術などに比べ入院期間も短縮され患者満足度にも貢献します。また、前年に比べ前立腺の全摘術などは著名に増加しており、より充実した治療が可能となっています。悪性腫瘍以外にもQOL疾患が原因の尿閉症状等にはステント留置術なども行っており、生活の質を高めるきめ細やかなヘルスマネジメントを行えるよう努めています。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 26 0.51%
180010 敗血症 同一 39 0.77%
異なる 47 0.92%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 26 0.51%
異なる 10 0.20%

・今回は医療の質を評価するために播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、真菌症、手術・処置等の合併症の発生率について公表することとなりました。
・最も医療資源を投入した傷病名が上記4つの入院契機となった傷病名と同じかどうか分けて集計しています。
・傷病名(最も医療資源を投入した傷病名)が入院契機となった傷病名と異なる場合、今回の入院目的よりも、入院中に発生した上記4疾病のほうが、より医療資源を投入したということになります。
※「-」は、症例数が10件未満のため非表示となっています。

1.用語解説

・播種性血管内凝固症候群(DIC)とは:
感染症、悪性腫瘍、外傷、手術の侵襲などが原因となり、血液が固まる力が高まり、体中の様々なところで血のかたまり(血栓)ができ、臓器の機能障害が起こるとともに、血小板の血液凝固に必要な成分が大量に消費されるため、出血が止まらない状態のことです。
・敗血症とは:
感染に対する体の反応が調節できなくなり、命に関わるような臓器障害が起きてしまうことです。
・真菌症とは:
酵母、カビ、キノコの仲間を総称して真菌と呼びますが、有害な真菌が病気を起こすことを真菌症と呼びます。真菌が皮膚にとどまる白癬症(水虫)のような表在性真菌症と抵抗力の落ちた人や手術や治療のために体に異物が入っている人などに見られる真菌が内臓まで及び深在性真菌症があります。
・手術・処置等の合併症とは:
術後感染、体内に挿入した機器の異常、適切に投与された薬剤のショック等であり、そのリスクについては術前に十分に説明を行い、適切な予防に努めています。合併症で重要となるのは予防と早期発見であり、入院直後より観察すべき項目を十分に検討して実施しています。
・最も医療資源を投入した傷病名とは:
当該入院期間に、医療従事者・材料・薬剤・医療費・時間に基づき、総合的に判断した傷病名です。
・入院契機となった傷病名とは:
今回入院し治療する必要があると判断される傷病名です。

2017/9/28 2016年度病院指標を公表しました。

診療時間
【 平日 】午前 8:30 ~ 11:00※予約のある方は指定の時間
休診日
土曜、日曜、祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)※急患はこの限りではありません。

〒865-0005 熊本県玉名市玉名550番地

FAX:0968-73-2867(代表)  FAX:0968-73-5300(医療福祉連携室)